ChatGPTで文章を「速く書く」とはどういうことか

繁忙期になると、日程調整や見積り送付のメールが一日に何通も発生します。提案書を作る専任者がおらず、社長や現場の担当者が片手間で書いている会社も多いはずです。

そんなとき、文章をゼロから考える時間を短くしてくれるのがChatGPTです。ただし、大事な前提が1つあります。

ChatGPTは「完成品を出す道具」ではなく、「下書き・たたき台を数秒で出す道具」です。 ここを勘違いすると、出てきた文章をそのまま送ってしまい、後で困ることになります。

向いている作業・向かない作業

向いている 人が必ず直す
定型メールの下書き 日付・金額・宛名などの事実
提案書の骨子(構成)づくり 会社ごとの細かい事情
かたい文章をやわらかくする言い換え 送る前の最終判断

横にスクロールできます

ChatGPTが得意なのは「土台づくり」です。事実の確認や最終チェックは、これまで通り人が行います。役割を分けて考えると、安心して使えます。

なお、これから紹介する内容は無料版で今日から試せるものばかりです。有料プランを契約しなくても、まず1通書いてみるところから始められます。

沖縄の小さな事務所で、机に積まれた書類とパソコンを前に、担当者がひと息ついてコーヒーを飲んでいる朝の場面

まずは1通。ChatGPTでメールを書く最短手順

難しい設定はいりません。次の流れで1通書いてみましょう。

  1. ブラウザでChatGPTを開き、アカウントを作ってログインする
  2. 画面下の入力欄に「どんなメールを書いてほしいか」を書いて送信する
  3. 出てきた文章を読む
  4. 直したいところを、また文章で指示する(例:「もう少し短く」)

たとえば入力欄に、こう打ってみます。

取引先へ、来週の打ち合わせ日程を相談するメールを書いてください。丁寧な言葉づかいでお願いします。

数秒で下書きが返ってきます。気に入らなければ、続けて追加の指示を出せます。

最初のつまずきどころ

  • 文章が途中で切れた → 「続けて」と送れば続きが出ます。
  • 日本語がかたい・大げさ → 「もう少しやわらかく、自然な言い方で」と指示します。
  • 長すぎる → 「3〜4文にまとめてください」と伝えます。

ポイントは、1回で完璧を求めないことです。会話のように少しずつ直していけば、自分の求める形に近づきます。

「返ってくる文章が良くなる」プロンプトの5要素

「メール書いて」だけでは、ぼんやりした文章しか返ってきません。指示(プロンプト)に次の5つを入れると、質が上がります。

  1. 目的:何のためのメールか(例:日程調整、お詫び)
  2. 相手:誰に送るか、どんな関係か(例:初めて連絡する取引先)
  3. 盛り込む事実:日付・場所・用件など(固有名詞は伏せてOK。後述)
  4. トーン:丁寧か、ややカジュアルか
  5. 長さ:何文くらい、または箇条書きにするか

悪い例 → 良い例

悪い例:

お詫びのメール書いて

良い例:

取引先への納品が2日遅れることのお詫びメールを書いてください。相手は長年の取引先です。丁寧だが堅すぎない言葉づかいで、5文程度にまとめてください。理由と、次の対応をひとことずつ入れてください。

同じ「お詫び」でも、5要素を入れるだけで、そのまま使える精度に近づきます。

追加指示のコツ

一度で決まらなくても大丈夫です。出てきた文章に、こんな一言を足していきます。

  • 「もっと短くしてください」
  • 「箇条書きにしてください」
  • 「感謝の一文を最後に足してください」

指示は、友だちにお願いするような普通の日本語で構いません。

場面別・そのまま使えるメールのプロンプト型

沖縄の中小企業でよくある場面ごとに、穴埋め式の型を用意しました。[ ]の中を自分の情報に置き換えて、入力欄に貼るだけで使えます。

日程調整

[相手]に、[用件]の打ち合わせ日程を相談するメールを書いてください。こちらの希望日は[希望日]です。丁寧な言葉づかいで、4文程度でお願いします。

見積り・請求書の送付

[相手]に、[件名]の見積書を送るメールを書いてください。添付があること、ご不明点は連絡いただきたいことを入れてください。丁寧に、短めでお願いします。

お礼

先日[出来事]でお世話になった[相手]へのお礼メールを書いてください。堅すぎず、気持ちが伝わる自然な言い方でお願いします。

お詫び・クレーム一次対応

[相手]から[内容]についてご指摘をいただきました。まずお詫びと、状況を確認して折り返す旨を伝える一次返信を書いてください。丁寧で落ち着いた言葉づかいでお願いします。

県外・海外の取引先向けの丁寧文

県外や海外の取引先に、いつも以上に丁寧なメールを書くのに時間がかかる、という声はよく聞きます。

[相手]に、[用件]を伝えるメールを書いてください。初めてのやり取りなので、特に丁寧な言葉づかいでお願いします。英語の文面も併せて用意してください。

英語が必要な場面でも、まず土台を作ってもらえます。訳が合っているかは、送る前に自分で確認しましょう。

定型のメールが多い場合は、下書きを作ったあとの「送る作業」も仕組み化できます。定型メールを自動送信する|テンプレと予約送信と組み合わせると、さらに手間が減ります。

提案書を速く書く:骨子づくりから文章化まで

提案書も、いきなり全文を書かせるのではなく、3ステップで進めると楽になります。

  1. 骨子(構成)を出させる
  2. 各項目の文章をふくらませる
  3. 言い回しを整える

ステップ1:骨子を出す

[顧客の課題]を抱える[相手]に向けた提案書の構成を、見出しだけで作ってください。項目は5〜7個くらいでお願いします。

まず全体の骨組みを見て、いる・いらないを判断します。

ステップ2:中身をふくらませる

上の構成のうち「[項目名]」の本文を書いてください。提案内容は[提案内容]、期待できることは[期待できること]です。専門用語は使わず、わかりやすくお願いします。

ステップ3:整える

全体を通して読みやすく、丁寧なトーンに整えてください。

現実的な注意点

「ChatGPTでパワーポイントが自動で作れる」という話を見かけますが、無料版やブラウザで使う場合、スライドやPowerPointの自動生成は使えないことがあります。 期待して混乱しないよう、ここは押さえておきましょう。

図やデザイン、レイアウトは人が仕上げる前提です。ChatGPTに任せるのは、あくまで文章と構成の土台までと考えると、うまく付き合えます。

送る前の必須チェックと、機密・個人情報の安全な扱い方

最後がいちばん大切です。ChatGPTは、それらしい事実を勝手に作ってしまうことがあります。次の項目は必ず自分の目で確認してください。

  • 日付・時間・場所
  • 金額・数量
  • 宛名・敬称(会社名や役職の間違いは失礼になります)
  • 添付ファイルの有無

機密・個人情報は「伏せてから」使う

「入力しないでください」とだけ言われても、取引先名や見積り額を扱う以上、現実には困ります。そこで具体的なやり方です。

  1. 取引先名を「A社」、金額を「◯◯円」、担当者名を「B様」などに置き換えてから指示する
  2. 出てきた下書きの、その部分を自分で本物に差し替える

こうすれば、実在の固有名詞や金額をそのまま入力せずに済みます。ひと手間ですが、慣れれば数秒です。

あわせて、設定画面に「入力した内容を学習に使わせない」といった選択肢があるかを確認しておくと安心です。細かい仕様は変わることがあるので、使う前に一度、設定を見ておきましょう。社内で使う場合のルール作りは、非エンジニアでも作れる生成AI社内ルールの最小セットと、中小企業のセキュリティ最低限チェックリストが参考になります。

会社の文体をそろえるコツ

出てくる文章が「自社っぽくない」と感じたら、過去の自社メールを1通貼って、こう指示します。

この文体に合わせて書いてください。

これで、いつもの言い回しに近づけられます。

まとめ

ChatGPTでメールや提案書を速く書く流れは、次の通りです。

  1. まず1通、下書きを出してみる
  2. 5要素を入れた型(テンプレ)を作る
  3. 自社向けに、伏せ字を使いながら調整する
  4. 送信前に事実を必ずチェックする

完璧な文章を一発で狙う必要はありません。考える時間を減らす下書きの土台として、まず使ってみることから始めてみてください。生成AIそのものが初めてなら、生成AIは何から始める?中小企業の第一歩もあわせてどうぞ。