現場や店舗からその日の報告と勤務時間が届く。紙のメモ、口頭、LINE、人によってはExcel。担当者は夜にそれを1つずつ手で打ち直し、月末には集計に追われる。沖縄の中小企業ではよくある光景です。
この記事では、その報告をGoogleフォームとスプレッドシートで集めて、自動で集計する方法を解説します。使うのは無料のツールだけ。プログラムのコードは書きません。フォームの作成から自動集計、続けるコツまで、順番に見ていきます。

フォームで日報・勤怠を集めると何が変わるのか
まず、いまの報告方法の何が大変なのかを整理します。
紙・口頭・個別のExcelで報告が集まると、次の問題が起きます。
- 担当者が受け取った内容を、あとから手で打ち直す(転記)
- 人によって書き方や項目がバラバラで、そろえるのに手間がかかる
- 誰が出していないのか、ひと目でわからない
いちばんの問題は「転記」です。受け取った報告をもう一度パソコンに入力する作業は、時間がかかるうえ、打ち間違いも起きます。
フォームなら入力した時点でデータになる
フォームを使うと、報告する人が自分でスマホから入力します。その内容は、そのままデータとして1か所に貯まります。
つまり、入力した時点でデータ化されるので、担当者の打ち直しがなくなるわけです。これが自動集計の出発点です。
紙をなくして「打ち直しを減らす」考え方は、日報以外の業務でも同じです。くわしくは二重入力をやめる仕組み|打ち直しを減らす方法もあわせてご覧ください。
準備:フォームと集計先スプレッドシートの関係を知る
Googleフォームで作った質問に誰かが答えると、その回答はGoogleスプレッドシートに1行ずつ自動でたまっていきます。
イメージはこうです。
| 送信のたびに | スプレッドシートでは |
|---|---|
| 1人が回答して送信 | 1行、下に追加される |
| 10人が回答 | 10行たまる |
| 質問(日付・氏名など) | それぞれが列になる |
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この「表に自動でたまる」性質を使えば、あとは表を見るだけ、あるいは関数でまとめるだけになります。
用意するもの
- Googleアカウント(無料)
- スマホかパソコン
必要なのはこれだけです。有料ソフトの購入もインストールもいりません。だから無料で今日から始められます。
このあと「QUERY(クエリ)」という言葉が出てきますが、いまは覚えなくて大丈夫です。手順のところでかみくだいて説明します。
【手順】日報フォームを作る
Googleドライブで「新規」→「Googleフォーム」を選ぶと、白紙のフォームが開きます。ここに質問を足していきます。
まず項目を欲張らない
続けてもらうコツは、項目を少なくすることです。最初は次の4つで十分です。
- 日付(質問タイプ「日付」)
- 氏名(プルダウンで選ぶ)
- 現場名・店舗名(プルダウンで選ぶ)
- 今日やったこと・困りごと(自由記述)
選べるものは「選択式」にする
氏名や現場名を毎回手で打つのは面倒で、しかも表記がバラつきます。「山田」「山田太郎」「ヤマダ」が混ざると、あとで集計できません。
そこで、氏名や現場名は**プルダウン(一覧から選ぶ形)**にします。質問タイプで「プルダウン」を選び、名前や現場を登録しておくだけです。選ぶだけなので入力が速く、表記もそろいます。
「日付」「氏名」「現場名」は必須にしておくと、空欄のまま送信されるのを防げます。質問の下にある必須のスイッチをオンにします。
つまずきどころ:自由記述だけにしない
「今日やったこと」を自由記述にするのは問題ありません。ただし、集計したい項目まで自由記述にすると、あとで数えたり合計したりできません。
数えたい・合計したいものは選択式、読むだけの内容は自由記述、と使い分けるのがコツです。
【手順】勤怠(勤務時間)もフォームで集める
日報と同じ考え方で、勤務時間も集められます。フォームに時刻の質問を足すだけです。
やり方は2つあります。
- A:1回で入力…同じフォームに「出勤時刻」「退勤時刻」を「時刻」タイプで追加する
- B:出勤・退勤を分けて送信…出勤時に1回、退勤時にもう1回送ってもらう
出勤してすぐ入力してほしいなら「B」、1日の終わりにまとめて入力なら「A」が向きます。人数が少なく、その日のうちに入力できる職場なら、まずはAが簡単です。
つまずきどころ:時間の計算を無理に自動化しない
退勤から出勤を引けば勤務時間が出ますが、日をまたぐ夜勤や、休憩時間の扱いを自動化しようとすると、とたんに難しくなります。
最初から完璧を目指さないでください。まずは時刻の記録を1か所に集めることを優先します。合計や差し引きは、集まったデータを見ながら少しずつ足していけば十分です。
自動化はどの作業から手をつけるかが大切です。進め方に迷うときは業務自動化の始め方|どの作業から手をつけるかも参考になります。
【手順】回答を自動集計する(コード不要)
回答がたまるスプレッドシートには、フォームの回答が自動で入ってきます。ここで大事なルールがあります。
回答がたまるシートは、直接いじらない。 集計は別のシートで行います。元のデータを壊さないためです。
シートの下にある「+」で新しいシート(例:集計)を追加し、そこに関数を書きます。
人別・日別に一覧を作る(QUERY)
QUERYは「表から欲しい行だけ抜き出す」関数です。たとえば回答シートの名前が「フォームの回答 1」なら、集計シートのセルにこう書きます。
=QUERY('フォームの回答 1'!A:E, "select A,B,C where B='山田太郎'")
これで山田さんの分だけが並びます。むずかしければ、まずは全部を写す形から始めても構いません。
勤務時間を合計する(SUMIFS)
「この人の、この期間の合計時間」を出すのがSUMIFSです。条件に合う数だけ足してくれます。
Excelでも同じ関数が使えます。合計のやり方はExcel関数で毎月の集計を自動でまとめるでくわしく解説しています。
提出できているか数える(COUNTIF)
COUNTIFは「条件に合うものが何件あるか」を数える関数です。今日の日付で提出した人数を数えれば、誰が出していないかがひと目でわかります。
つまずきどころ3つ
| 症状 | 原因と対処 |
|---|---|
| 集計がずれる | フォームに質問を追加すると列がずれる。関数の範囲を見直す |
| 日付で計算できない | 日付が文字として入っている。表示形式を「日付」に変える |
| 回答が反映されない | 別ファイルに手で作った表を見ている。フォームとつながったシートを開く |
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集めたデータを見える化して確認をラクにする
集計シートができたら、そのまま関係者に共有できます。スプレッドシートの「共有」ボタンから、見せたい人にリンクを送るだけです。
もう少し見やすくしたいときは、次の方法があります。
- ピボットテーブル…メニューの「挿入」から選ぶと、人別・現場別の合計を自動でまとめてくれます
- グラフ…提出件数や時間を棒グラフにすると、状況がひと目でわかります
ここで運用のコツがあります。「入力用のフォーム」と「見る用のシート」を分けることです。閲覧する人には集計シートだけを共有し、回答の元データは触らせない。こうすると、うっかり消してしまう事故を防げます。
続けてもらうコツ(沖縄の中小企業でつまずきやすい点)
仕組みを作っても、入力が続かなければ意味がありません。「ちゃんと出して」とお願いするだけでは続きません。大事なのは、精神論ではなく入力の手間を減らすことです。
スマホから1分で終わる状態にする
フォームのリンクをスマホのホーム画面に置いてもらう、あるいはQRコードにして現場や休憩室に貼っておきます。現場から歩きながらでも入力できる状態にします。
締め時間を決める
「その日の18時まで」など、いつまでに出すかを決めます。時間があいまいだと、だんだん出さなくなります。
いまの連絡手段と併用してよい
「LINEでの報告をすぐやめないと」と気負う必要はありません。最初はLINEとフォームが両方あっても構いません。フォームのほうが後で見返しやすいと現場が気づけば、自然にそちらに寄っていきます。
反対に「うちはIT担当がいないから無理」と感じるかもしれません。ですが、この方法で使うのはフォームとスプレッドシートだけで、必要なのは選択肢を登録する作業と、いくつかの関数を書き写す作業です。専任のエンジニアがいなくても始められます。
まとめ
流れをもう一度整理します。
- フォームで報告を集める
- 回答がスプレッドシートに自動でたまる
- 別シートで関数を使って自動集計する
最初から全部やろうとせず、項目を絞った日報フォーム1つから始めてください。慣れてきたら勤怠の時刻や、SUMIFSでの時間合計を足していけば大丈夫です。
紙とペンで転記していた作業を、入力=集計に変える。無料のツールだけで、非エンジニアでも今日から始められます。まずは白紙のフォームを1枚、開いてみてください。
