「AIに指示したのに、的外れな答えが返ってきた。結局、自分で書き直した」。そんな経験はありませんか。
実はこれ、あなたの使い方が下手なわけではありません。多くの場合、悪いのは「頼み方」だけです。
コツはいくつかしかありません。この記事の順番どおりに直せば、今日からもっと使える答えが返ってきます。難しい言葉は使わず、やさしく説明します。
なぜ的外れな答えが返ってくるのか
まず、AI(ChatGPTなど)を「前提を知らない、優秀な外注さん」だと考えてみてください。
腕はいいけれど、あなたの会社のこともお客さんのことも何も知りません。だから、ざっくり頼むと、ざっくりした答えしか返ってきません。
的外れになる主な原因は、次の3つです。
- 指示が曖昧(「メール書いて」だけ、など)
- 前提や背景が抜けている(誰に・何のために、が書かれていない)
- 欲しい形を言っていない(長さ・箇条書き・文体などの指定がない)
たとえば、少人数で回している沖縄の事務所を思い浮かべてください。電話も来客も1人で受けながら、合間にAIへ「観光のお客さんへの返信メール書いて」とだけ打ち込む。すると、季節も、相手が英語なのか日本語なのかも分からないまま、当たりさわりのない文章が返ってきます。
これは外注さんに「いい感じの資料を作っておいて」とだけ頼んだのと同じです。相手は前提を知らないので、思ったものは出てきません。
つまり、あなたの能力ではなく「伝え方」の問題です。忙しくて指示が短くなるのは自然なことですが、そのぶん足りない情報を1〜2文足すだけで、返ってくる答えは変わります。
これから紹介するコツは、役割・条件・形・対話の4つだけ。ひとつずつ見ていきます。

コツ①役割と目的を最初に伝える
最初に「あなたは○○の担当者です」「○○のために書いてください」と伝えると、答えの方向が定まりやすくなります。
役割を伝えると、AIはその立場になりきって言葉づかいや内容を選びます。目的を伝えると、何を優先すべきかが分かります。
外注さんの例えで考えると分かりやすいです。「営業として、取引を続けたいお客さんに」と立場と狙いを先に伝えれば、相手はそれに合わせて話し方を選びます。AIも同じで、立場と狙いが分かると答えの土台が決まります。
具体例で見てみましょう。取引先へのお詫びメールを頼む場合です。
- ダメな例: お詫びメール書いて
- 直した例: あなたは取引先を担当する営業です。納品が1日遅れたことをお詫びするメールを書いてください。今後も取引を続けたいので、誠実で落ち着いた文章にしてください。
- 足したのはどこ: 「営業という役割」「お詫びという目的」「今後も取引したいという背景」
このように役割と目的を頭に置くだけで、返ってくる文章が実務に近づきやすくなります。
ひとつ注意です。役割は具体的にすると効きますが、盛りすぎる必要はありません。「20年のベテラン営業部長」などと過剰に飾っても、答えが良くなるとは限りません。まずはシンプルに、今の仕事に合った役割で十分です。
コツ②条件と背景を具体的に足す
次は「誰に・何のために・どんな状況か」を書き足します。ここが答えの精度を大きく変えます。
書くとよいのは、次の4つです。
- 相手(お客さん・取引先・社内など)
- 目的(何をしてほしいメールか)
- 状況(今どういう場面か)
- NG事項(入れてほしくないこと)
沖縄の店舗でよくある場面で見てみましょう。観光のお客さんから英語で問い合わせが来て、英語で返信したいケースです。
- ダメな例: この問い合わせに英語で返信して
- 直した例: あなたは観光客向け飲食店のスタッフです。海外からのお客様に、予約できる時間帯を伝える返信を英語で書いてください。フレンドリーでていねいな文章にし、専門的な言い回しは避けてください。
- 足したのはどこ: 「飲食店スタッフ」「観光客が相手」「予約時間を伝える目的」「フレンドリーに、という条件」
ここで大事なコツがひとつ。条件は後出しにせず、最初にまとめて書くことです。
「あ、これも入れて」「やっぱりこうして」と少しずつ足すと、AIが混乱しやすくなります。最初にまとめて伝えるほうが、きれいな答えが返ってきます。
コツ③欲しい「形」を指定する
役割と条件を伝えても、返ってきた文章が長すぎたり硬すぎたりすることがあります。これは「形」を指定していないからです。
形とは、長さ・見た目・文体のことです。次のような言葉を足しましょう。
- 長さ: 「3行で」「200字くらいで」
- 見た目: 「箇条書きで」「表にして」
- 文体: 「やわらかい敬語で」「小学生にも分かる言葉で」
長い会議メモを短くまとめたい場合の例です。
- ダメな例: この会議メモをまとめて
- 直した例: この会議メモを、決まったことと次にやることに分けて、それぞれ箇条書き3つ以内でまとめてください。
- 足したのはどこ: 「決まったこと・やること、という分け方」「箇条書き」「3つ以内という長さ」
「形」を指定するだけで、そのまま使える答えに近づきやすくなります。会議のメモまとめについては、会議の議事録をAIで自動作成する方法でくわしく紹介しています。あわせて読むと、要約がもっと楽になります。
メールや提案書を速く書きたいときは、ChatGPTでメール・提案書を速く書くも参考になります。
コツ④一発で決めない:対話で直していく
ここが、いちばん大事なコツです。1回で完璧な答えを狙う必要はありません。
返ってきた答えに対して、「もっと短く」「専門用語を減らして」「例を足して」と追記して、送り直します。この往復こそが、いちばんの近道です。
画面での流れは、とてもかんたんです。
- 入力欄に頼みごとを打って送る
- 返ってきた答えを読む
- 直してほしい点を追記して、また送る
- 欲しい形になるまで、3を繰り返す
たとえば、こんなラリーになります。
- 初回: 取引先への日程調整メールを書いて
- 返答を見て → 修正1: もう少しやわらかい敬語にして、3行以内に短くして
- さらに → 修正2: 候補日を2つ入れて、返信しやすい聞き方にして
2〜3回のやり取りで、思った文章に近づきやすくなります。
もっと早く近づけたいときは、お手本を見せるのが有効です。「こういう文章にして」と、過去に自分が書いたメールを1通貼るだけで、雰囲気が伝わります。
「毎回そんなに直すのは面倒では」と思うかもしれません。ですが、ゼロから自分で書き直すより、AIの下書きを直すほうがずっと速いことがほとんどです。下書き役として使い、仕上げを対話で詰めるのがコツです。
よくある失敗と使うときの注意点
最後に、つまずきやすいパターンと直し方をまとめます。
| よくある失敗 | 直し方 |
|---|---|
| 指示が曖昧すぎる | 役割・目的・相手を足す |
| 情報を詰め込みすぎて混乱 | 一度に頼むことを1つに絞る |
| 条件を後出しにする | 最初にまとめて書く |
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そのうえで、使うときに必ず守ってほしい注意点が3つあります。
- 機密情報や個人情報は入力しない。 お客様の名前や連絡先、社外秘の資料はそのまま貼らないようにします。
- 答えが正しいとは限らない。 AIは事実と違うことをもっともらしく書くことがあります。数字や固有名詞は、送る前に必ず自分で確認します。
- よく使う頼み方は型にして共有する。 社内でうまくいった指示文を1〜2文で保存しておくと、次からコピーして使えます。
安全なルール作りについては、社内でChatGPTを安全に使うルールの作り方にまとめています。チームで使う前に、目を通しておくと安心です。
まず今日、いつものメールか会議メモをひとつ選んで、この記事の順番で頼んでみてください。コツは「役割・条件・形・対話」の4つだけ。手を動かせば、返ってくる答えの変化がすぐ分かります。
